セクハラの定義は?セクハラに当てはまる例を紹介
- 2023.02.28
- 2023.02.28
セクハラ
セクハラとはセクシャルハラスメントの略語で、性的嫌がらせを意味します。
職場でのセクハラにより、労働者が不利益を受けたり、労働環境などが害されることがあります。
労働問題の中でセクハラが占める割合は大きく、社会問題となっています。
ここでは、職場でのセクハラについて、具体例を交えながら解説します。
職場でのセクハラの定義
厚生労働省では、職場でのセクハラを次のように定義しています。—------------------------------
「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されること。
厚生労働省:職場におけるハラスメント対策マニュアル
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つまり、職場でのセクハラとは、労働者の意に反した「性的な言動」によって、不利益が生じたり労働環境が侵害されることを指します。
ここで「性的な言動」とは、性的な内容の発言や性的な行動を指します。
性的な言動の例として、次のような内容が挙げられます。
性的な内容の発言
性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど性的な行動
性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示すること、強制わいせつ行為、強姦など職場でのセクハラに関しては、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における生徒なども加害者になり得ます。
また、男性も女性も加害者にも被害者にもなり得ます。
男性から女性、そして女性から男性のように異性間だけでなく、男性から男性、女性から女性のように、同性に対するものもセクハラに含まれます。
被害者の性的指向や性自認に関係なく、「性的な言動」であれば、セクハラに該当します。
性的指向や性自認について理解し、差別的言動や嫌がらせが起こらないようにすることが重要です。
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※性的指向:恋愛感情または性的感情の対象となる性別についての指向。男性に惹かれる人、女性に惹かれる人、どちらにも惹かれる人、どちらにも惹かれない人など、人それぞれ恋愛対象は異なります。
※性自認:自己の性別についての認識のこと。「自分は男性(または女性)」と思う人もいれば、「男性でも女性でもない」や「男性でも女性でもある」と思う人もいます。
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セクハラに当てはまる具体例
職場でのセクハラには「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」があります。対価型セクハラ
対価型セクハラとは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることです。・事務所内で経営者が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇すること。
・出張中の車中で上司が労働者の腰、胸などに触ったが、抵抗されたため、その労働者にとって不利益な配置転換をすること。
・営業所内で経営者が日頃から労働者の男女関係について公然と発言していたが、抗議されたため、その労働者を降格すること。
環境型セクハラ
環境型セクハラとは、労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。・事務所内で上司が労働者の腰、胸などに度々触ったため、その労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
・同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、その労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
・労働者が抗議をしているにもかかわらず、同僚が業務に使用するパソコンでアダルトサイトを閲覧しているため、それを見た労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。
セクハラの判断基準
セクハラの状況は多様であり、判断に当たり個別の状況を考慮する必要があります。また、「労働者の意に反する性的な言動」と「就業環境を害される」の判断に当たっては、労働者の主観を重視しつつも、事業主の防止のための措置義務の対象となることを考えると一定の客観性が必要です。
一般的には意に反する身体的接触によって強い精神的苦痛を被る場合には、一回でも就業環境を害することとなり得ます。
継続性または繰り返しが要件となるものであっても、回数のみを判断材料とはせず、少ない回数でも「明確に抗議しているにもかかわらず放置された状態」又は「心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合」には、就業環境が害されていると判断し得るものです。
被害を受けた労働者が女性である場合には、「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当です。
セクハラの相談窓口
職場でのセクハラの相談窓口として、国の機関が提供している無料サービスのものがあります。・厚生労働省:総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、厚生労働省が設置している相談窓口です。
全国の労働基準監督署と連携をしているため、問題解決のためのアドバイスをもらえることもあります。
また、紛争調整委員会のあっせんにより、あっせん委員が介入して問題解決をはかることもあります。
総合労働相談コーナー
・法務省:みんなの人権110番
みんなの人権110番は、法務省によって設置された窓口です。電話とメールでの相談が可能です。
セクハラについて人権問題の視点から助言をもらえるため、自分が受けた言動が人権侵害に該当するかどうかの判断がクリアになります。
みんなの人権110番
・ハラスメント悩み相談室
ハラスメント悩み相談室は、厚生労働省の相談窓口です。
職場でのハラスメントで悩んでいる人の相談を受け付けています。
電話だけでなく、メールやSNSでの相談にも対応しています。
ハラスメント悩み相談室
・弁護士
上記の国の相談窓口では、問題の根本的な解決が難しかったり、解決策が法的な効力を持たなかったりします。
会社がセクハラの対応を拒んでいたり、セクハラの加害者や会社を相手取った慰謝料の請求を考えている場合は、弁護士への相談をおすすめします。
まとめ
職場でのセクハラにより、労働者が不利益を受けたり、労働環境などが害されることがあります。労働問題の中でセクハラが占める割合は大きく、社会問題となっています。実際に自分が職場で受けた言動がモラハラにあたるかどうかは、ケースバイケースの部分もあります。
悩んでいる場合は、国の設置窓口や弁護士などに相談するのがよいでしょう。
退職代行コラム編集者
労働基準調査組合執行委員長
後藤 星未
「医療関係の職場に長年勤務していました。その職場では、様々なハラスメントが横行しており、経営者をはじめ役職者も従業員に心ない言葉を浴びせ、非常に離職率が高く、入社直後に退職してしまう、まさに典型的なブラック企業でした。
私は新人研修や教育を任されていましたが、せっかく育てた新人は経営者や上司からのハラスメントを受けて心を病み、退職を繰り返す状況が続きました。
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