退職すると会社から損害賠償請求されるのは本当?
- 2023.03.04
- 2023.03.04
退職豆知識
「会社を退職する際に損害賠償請求をされた」という話を聞いたことがあるかもしれません。
また、実際に退職を申し出た際に、会社から損害賠償を請求されている方もいるでしょう。
通常の退職では、会社は退職する社員に損害賠償を請求できません。
しかし、会社との契約内容や、退職の際の理由や手続きの不備により、会社から損害賠償を請求されることもあります。
ここでは、会社から損害賠償請求をされるリスクとともに、スムーズに退職する方法を紹介します。
退職の意思表示は2週間前までに
正社員が退職するのは、基本的に自由です。ただし、退職する際には、前もって退職の意思を会社に伝えておく必要があります。
契約期間が決まっていない正社員や無期雇用の契約社員であれば、退職の2週間前までに会社に退職意思を伝えておかなければなりません。
その際、記録に残るメールなどで退職意思を会社に連絡しておくとよいでしょう。
退職意思がある社員に対し、会社が強引に引き止めて退職させなかったり、損害賠償を請求することは認められません。
ただし、有期雇用の契約を結んでいる社員の場合は、やむを得ない事情がなければ、一方的に契約を解除して退職することができません。
この場合、正当な理由もなく退職してしまうと、会社から損害賠償を請求され、支払いに応じざるを得なくなる可能性があります。
ただ、有期雇用契約であっても、契約期間の初日から1年間以上が経過した場合は、やむを得ない理由がなくても、退職をすることが可能になります。
ちなみに、当初示されていた労働条件が実際には異なっていた場合、労働者はすぐに退職しても、会社側は損害賠償を請求できないこととなっています。
退職に際して損害賠償が請求される場合
退職をすることは労働者の自由な権利です。しかしながら、以下のように、退職に際して正しい手続きを踏まなかった場合は、会社から損害賠償を請求されるリスクがあります。
・期日までに退職の意思を表示せず退職した場合
上述のように、無期雇用の労働者が2週間前までに退職の意思を表示せずに退職したり、有機契約の社員やアルバイトが正当な理由なく退職すると、会社から損害賠償を請求される恐れがあります。このような突然の退職が原因で会社の業務に支障が出たことで、会社が通常の営業を行えずに損害が出ることがあります。
これを理由に損害の賠償を請求されることがあるため、じゅうぶんに気をつけておかなくてはなりません。
・入社直後に退職した場合
入社してすぐに退職すると、損害賠償を請求されることがあります。会社は新入社員に対して、入社前から売り上げに貢献する戦力として計算を立てています。
そのような新入社員が入社直後に退職してしまうと、会社側が計算していた売上を得られなくなり、損害が発生することがあるからです。
・退職の意思を表示した後に無断欠席をした場合
退職の意思表示をした後、2週間が経過する前に無断欠席をすると、損害賠償を請求されることがあります。当然のことですが、退職の意思を表示しても、その後2週間が経過するまでは会社との労働契約が有効であり労働の義務が残ったままだからです。
・会社に損害を与えるような問題を起こした場合
会社に対して損害を与えるような問題を起こし、その問題を解決しないまま退職した場合、損害賠償を請求される場合があります。その問題が退職した本人に起因していなければ大丈夫ですが、本人に責任があると認定されれば、かなり苦しい立場となるでしょう。
・退職時に引き抜きや勧誘をした場合
退職の際、正当な手続きをせずに会社の社員らを勧誘して引き抜いたりすると、会社から損害賠償を請求される場合があります。退職者の引き抜きによって会社から従業員がいなくなると、会社の売上に影響が出て損害を被ることがあるからです。
・会社が支援する留学や研修の後ですぐに退職した場合
会社が経費で支援している留学や研修などの制度を利用した場合、その後すぐに退職すると損害賠償を請求されることがあります。会社がこのような支援を社員にするのは、そのような支援を受けた社員が成長し、会社の売上に還元してくれることを見込んでいるからです。
もし、会社の経費による支援を自分のために使い、会社に何も貢献しないまま退職して仕舞えば、その経費を請求される可能性があるのです。
退職代行サービスを使うと損害賠償される?
先に結論を述べておくと、退職代行を利用することが損害賠償の原因とはなりません。退職代行を通して退職することは、それ自体が法律や会社の規定を侵害することならないからです。
上述したような規則に反しない限り、退職代行は安全といえます。
まとめ
会社を退職することは労働者の自由な権利です。しかしながら、退職にあたっては定められたルールに沿って手続きを踏む必要があります。
会社から損害賠償を請求されるリスクを避けるためにも、本記事の内容をじゅうぶんに確認しておきましょう。
退職代行コラム編集者
労働基準調査組合執行委員長
後藤 星未
「医療関係の職場に長年勤務していました。その職場では、様々なハラスメントが横行しており、経営者をはじめ役職者も従業員に心ない言葉を浴びせ、非常に離職率が高く、入社直後に退職してしまう、まさに典型的なブラック企業でした。
私は新人研修や教育を任されていましたが、せっかく育てた新人は経営者や上司からのハラスメントを受けて心を病み、退職を繰り返す状況が続きました。
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